素人でも、車のタイヤ交換はするよ!っていう人、多いのでは無いでしょうか。
タイヤ交換の時、ナットやボルト1つでも、ボルトやナットの状態を良く確認すると、より安全に締め付けることができます。
タイヤを外そうとした時、ナットやボルトがちょっと回りにくいな?とか、回り始めが固い!!という経験ある人も多いのでは無いでしょうか。
無理やり回してしまった時、ボルトが折れてしまうことも。折れてしまってはタイヤが適切に取り付けることができず、修理しなくてはいけません。
適切に締め付けていれば、あまりそういったことは起きません。
今回は、タイヤを締め付けるとき、適切にナットを締める為に注意することを記載しようと思います。
締め付けすぎに注意!
ハブボルト折損などの不具合の要因として一番多いのが、ナットの締めすぎ。
車種ごと適正な締め付けトルク(締め付け力)が設定されていますが、車載工具やクロスレンチを使った場合適正な締め付け力はカンで締めるしかありません。
体重をかけたり、力いっぱい締め付けている人も多いのでは無いでしょうか?
締め付け力がゆるい場合も緩みやすく危ないですが、締めすぎもボルトを伸ばしてしまい、強度が落ち、走行中にボルトが折れ、タイヤが外れてしまう・・・なんてことにもつながりかねません。
とはいえ、ある程度の過大トルクにも耐えれるように車両は設計されています。が、何度も規定の締め付けトルクを超えた締め付けを行うと徐々に伸びていき、いずれ破断してしまいます。
国産車の場合、締め付けトルクは98Nm〜108Nm程度に設定されていますので(取り扱い説明書や、ディーラーにある整備書などで確認できます)、トルクレンチを使い適正なトルクで締め付けを行いましょう。
ネジ山へのアルミ付着に注意!
ハブボルトに限らずですが、ネジ山って思った以上にギザギザ尖っています。
ナットを緩め、ホイールを車体から外すとき、または乗せるときに、ついつい重たいのでボルトに擦ってしまっていませんか?意識もしていないことかもしれません・・・。
しかし、その時にボルトの山でアルミを削ってしまっている可能性があります。
その状態でナットを締めつけると、ハブボルトとナットの間にアルミが噛みこみ、ナットが動かなくなってしまう可能性があります。
無理に締め付けると、ネジ山を破壊するか、そのままハブボルトが折れてしまうことも。
また、アルミ合金ナットなどは、ナットが破壊されてしまうこともあります。
ナットを締めこむ前に、ウェスや手に付けた軍手でボルトを清掃してあげるなどの配慮をしてあげると、こういったことを防げます。
ハブボルトに油は要らない。
ハブボルトは設計上ドライ状態(無給油)で締め付けることになっています。
しかし、使用過程でボルトがさびてしまうことや、白さびが浮いてくることがあります。その状態では、上記のトルク管理でナットを締めつけても適正な軸力(※)が出ません。
※:ここでは、ナットを締めて、ハブボルトを引っ張り、ホイールがハブに押し当てられる力とイメージしてください。厳密には違いますが・・・。
適正トルク(例えば108Nm)でしめても、ボルトの摩擦力が上がりすぎて、そちらに回転する力が奪われてしまい、ボルトを引っ張るような力が掛からないのです。
そんな場合、CRCやグリスなどの油を塗れば、ナットがスムーズに回り、軸力が向上します。
しかし、その場合設計よりもボルトの摩擦力が減ってしまい、想定以上の軸力が出てしまい、逆にボルトを折ってしまう事に繋がります。
締め付けがシブい場合や、錆などが見つかった場合は、以下のどちらかの方法で対処するのが理想です。
- タップ・ダイス でネジ山を修正、錆やごみを取り除きます。
- 一時的にCRCをハブボルトに塗布し、ナットを数回締め付けて緩めるを繰り返します。CRCの洗浄力で錆や汚れが落ちます。その後、パーツクリーナーなどでボルトとナットをしっかりと脱脂します。
いずれにしても、締め付け時はウエット(給油)ではなく、ドライ(乾燥)で行いましょう。
すべてのハブボルトのスムーズさが均等でない場合も、上記の対応をとることで、4~6本であることが多いハブボルトが均等にしまり、より緩みなどのトラブルの少ない締め付けが実現できます。