車両火災について

国土交通省の報告によると、平成26年度の車両火災件数は、1,252件となっており、1日あたり約3.5件が起きている計算になります。

マイカーが燃えてしまう経験がある人はほとんどいないと思いますが、件数を見る限り遭遇してしまう可能性もそこまで低く無いのではないでしょうか。

自動車は、エンジンなどの高温熱源、ガソリンやオイルなどの可燃物が詰まれており、燃えやすい固体といえます。しかし、火災が起きないよう、自動車メーカーでは様々な工夫がされています。
では、なぜ車両火災が起きるのか・・・。

私の調査経験から言えるのは、車両火災の多くは車両が正規(組み立て)状態と異なった部位・状態で発生しているということです。

車両火災の原因

原因が特定できたケースの車両火災の主な原因は4つです。
1.点検・整備不良
2.後付電装品によるもの
3.外的要因

自動車の設計上、構造上の不具合が原因だったケースは経験上ありません。
実際には、数件あると思いますが、メーカーも不具合情報からすぐにリコールなどの対策しますので
件数も少ないですし、メーカーが保障してくれます。

点検・整備不良の原因の内訳

点検・整備不良が原因といっても、内容は様々です。
まずは、自動車メンテナンスで一番頻度の多い作業

オイル交換作業での、作業ミスが目立ちます。

1.オイル交換時、ウェスをエンジンルーム内に置き忘れる
ウェスを置き忘れた場合、走行風などで移動し高熱の排気系などに触れる可能性があります。
排気系はエンジンに近いほど高温になっており、条件によっては1000℃近くなる可能性もあります。
特に高温の部位には遮熱板が設定されていますが、遮熱板表面も数100度になります。
オイル交換で使用したウェスですから、当然油もしみこんでおり、発火の原因となります。
この場合、燃えた後の調査で繊維が検出されることが多いです。

2.オイルのフィラーキャップのつけ忘れ
オイルの入り口である、オイルフィラーキャップのつけ忘れのケースもよくあります。
オイルフィラーキャップを付け忘れても運転者は異音などはあまり出ることは無く気づきにくいです。
また、締め付け不足や半掛り状態で作業を終え、エンジンの振動で緩んで無くなっている可能性もあります。
オイルの入り口ですが、たいていすぐ下にはエンジンのカムシャフトなど動く部品があり、キャップを閉め忘れるとオイルの滴やミストがエンジンルーム内に飛び散ります。
その状態で乗り続けると、高温の排気系などに付着し発火してしまいます。
調査時は、キャップが無く、エンジンルームから油分が多く検出されます。

油漏れ放置

点検時、経年劣化でエンジンオイル、パワーステアリング、デファレンシャルギアなどから油漏れが発見されることは珍しくないと思います。
そのまま放置してしまうと、思わぬ火災につながる可能性があります。
漏れた油分が排気系に付着して発火する場合や、油量減少による潤滑不良や放熱不良で焼きつきが発生し、火災につながっているケースがあります。
パワーステアリングや、トランスミッションなど圧力の掛かる部位の油漏れは、時にミスト状に勢い良く噴出すこともあり、特に燃えやすい状態になることがあります。

バッテリー交換時、取り付け不良

バッテリーも、数年に一度交換するものですが、バッテリー取り付けにも火災の危険が隠されています。
バッテリーは、本体をステーで車体に固定し、端子から電力を取っています。
バッテリー交換時は、ステーと端子を取り外し、再度取り付けます。
このとき、ステーのナット締め付けが弱い場合、振動で徐々にゆるみ、バッテリーが移動してしまうことや、ステー自身がプラス端子と接触してしまうことによる、ショートの懸念があります。
また、端子の接続がゆるい場合は、バッテリーとの間の接触抵抗が大きくなり、エンジン始動時や充電の大電流で発熱し、鉛の端子が溶けて火災につながることがあります。
緩みの無いように、しっかりと固定してあげることが大切です。締めすぎもよくありませんが・・・。

ブレーキ故障

定期点検や車検の検査項目にもなっている、ブレーキですが、火災につながる故障として”引きずり”があります。
ブレーキペダルを踏んでいないのに、ブレーキが効いた状態になってしまうことです。通常の使用家庭でも起こりえます。
ブレーキは、車が動いているエネルギーをブレーキの摩擦によって熱エネルギーに変換して車を止めています。
引きずり状態では、ブレーキが常に発熱しどんどん高温になっていきます。
ブレーキが利かなくなってくるだけでなく、いずれはブレーキパッドから発火することもあります。
また、発熱したブレーキ部品にゴミなどが付着し発火した(痕跡があった)ケースもありました。
定期点検はしっかりと行い、ブレーキフルード交換、オーバーホールなどの予防整備を行うことも大切です。

後付電装品による火災

実は、一番多いのではないか、と思われるのが、後付電装品による火災です。
社外品も豊富に出回り、近年では中国製の安価で高性能な部品が目立つようになりました。
不適切な取り付けや、製品不良と思われる火災も多く発生しています。

社外HID交換キットによる火災

最近特に多くなってきたと思われるのが、中国製の安価なHIDキットによる火災です。
なかでも一番多くみられるのが”バラスト”からの出火です。取り付け自体は簡単で適切に行われているようですが、バラストと呼ばれている箱から出火し、車両火災に至ったケースを十数件経験しています。
バーナーからの発火でヘッドランプ自体を溶かしているケースもありました。
後付品は推奨しませんが、取り付ける場合は信頼できるメーカーの物を選びたいです。

ヒューズ未装着

後付電装品で、大きな電力を使うフォグランプ、無線機などいわゆる”バッ直”接続が行われます。
シガーソケットでは容量足りず、バッテリー+端子に直接接続し電力を得るわけです。
その場合、車体金属部は、ずべてマイナス側になっている為、触れてしまうとショートしてしまいます。
ヒューズが装着されていない場合、ショートしても電力が供給され続け、配線が発熱して火災に至ります。
この場合、配線にショート痕が見られることで、原因の特定となります。
バッ直する場合は+側のバッテリーに極力近い位置に確実にヒューズを取り付け、万が一に備える必要があります。
また、配線取り回しも、金属エッヂやボルトなどに触れないよう、チューブなどで保護し、被覆が磨耗してショートしないようにする配慮も有効です。

外的要因による火災

車両火災は、車両そのものが原因の火災だけではありません。
放火やいたずらに寄るものも多く発生しています。

また、レアケースですが、長期保管車両の排気管近くに鳥巣が作られており、鳥巣が燃えるという車両火災にもであったことがあります。

どのケースも近所を走っている車や、マイカーに起きてもおかしくはありません。
起きる可能性があるという事です。
日常の点検で異変に気付くことで防げる場合もありますので、やはり点検は日ごろから行いたいものです。

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